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デジカメにGPSなんかいらねーよと言ってるヤツらに反論する

投稿日:2017-02-25 更新日:

この記事は、私がnoteに投稿した「デジカメにGPSなんかいらねーよと言ってる写真家たちに反論する」を一般向けに加筆・修正をしたものです。

GPSをテーマにしようと思ったのは、某有名写真家がGPSを搭載するカメラメーカーについて、「GPSを付けたからといって写真の腕は上がらない」と批判したことに違和感を感じたからです。

定期的に集まる写真の会合でも他の写真家たちに「デジカメにGPSいらねーだろ」って、同じことを言われたことがありました。

あれば便利な機能だと思うんですけどね。

ということで、個人的に思っていることをぶちまけたいと思います。

▼一眼レフカメラに取り付けている「Canon GPSレシーバーGP-E2」。単3電池1本で動き、電池持ちがいい小型のGPSレシーバー。撮影と同時に位置情報を画像に埋め込むことができる。カメラに取り付けずに単体でGPSロガーとしても使用可能。GPSレシーバー GP-E2

目次

その写真、どこで撮ったか覚えていますか?

質問です。

デジカメでもスマホでもいいんですけど、写真を見てどこで撮影したか、覚えていますか?

なんとなく覚えているけれども、正確な場所は覚えていない。人間の記憶はあいまいなものです。それでいいと思います。すべての写真の正確な撮影場所を覚えている人なんていません。

スマホの場合は位置情報が自動的に記録されるので、自分が覚えていなくても問題ないですね。

どこで撮ったかいちいち覚えていられないから、位置情報を記録する機能が必要になります。

GPS不要論者

デジカメにGPS不要と言う人たちの意見は、大体2つのパターン。

  • 「デジカメにGPSなんか何するんだ?」
  • 「GPSが付いていても、写真の腕は上がらない」

必要な人にはありがたい機能であり、不要な人には無用の長物なんでしょうね。でもね、あったほうが間違いなく便利なんです、GPSは。

デジタル画像には撮影時の情報が記録されている

デジカメやスマホは、シャッターボタンを押して撮影した瞬間にカメラの機種や撮影時の条件情報、設定していれば著作権情報等が撮影データとしてデジタル画像に書き込まれる。これは、Exif「イグジフ」または「エグジフ」という名称の規格です。

▼デジタル写真の画像処理・編集ソフト「Adobe Lightroom」で画像を開くと記録されたExif情報(撮影時のデータ)が表示される(赤枠)。Adobe Photoshop LightroomのExif情報

で、そのExif情報に撮影時の緯度や経度を書き込むスペースもあって、GPS機器を使えば情報を埋めることができます。つまり、世界中のどこで撮影したのかが記録されるのです。

▼一番下の「GPS測定位置」に数字と記号の羅列(赤い下線)。これがGPSデータ。GPS機器を使わなければ、ここは空欄のまま。

Adobe Photoshop LightroomのGPS情報
情報を書き込むスペースがあるのに空欄のままにしておくのは、もったいない気がするけどね。

「デジカメにGPSなんか何するんだ?」 ←  使い方を知らないだけ

GPS不要論者2パターンのうち「デジカメにGPSなんか何するんだ?」の意見の方々。

GPSデータの使い方を知らないから、あんなものいらないと考えるのでは?

要するに彼らは、GPSデータの使い方を知らない、もしくは使ったことがない人たちです。

GPSデータとは、数字とアルファベットの組み合わせ。北緯何度東経何度というヤツ。

例えば、48°51’30.4″N 2°17’41.2″E

見たことがあるでしょう?この数字とアルファベットの組み合わせ。

これを何に使うのか?

Google マップ

乱暴な言い方をすると、GPSとは Google マップですよ。

  • GPS = Google マップ

Google Earthでもいいし、他の地図アプリやソフトでもいいんです。一番メジャーなのは、Google マップですね。

数字とアルファベットの組み合わせがあれば、Google マップ上でその写真がどこで撮影したのかが一発でわかる。

だから、「デジカメにGPSなんか何するんだ?」は、Googleマップを使わない、もしくは使い方を知らない、と言ってることと同じですよ。

先ほどのGPSデータ 48°51’30.4″N 2°17’41.2″E
これがどこなのかは、Googleマップの検索窓にコピペして調べてみてね。

どこで何を撮影したのかをメモってられない

私のように海外数カ国にまたがって撮影に出かけると、GPSは必須。絶対必需品です!

どこで何を撮影したのか、後で自分の写真を見返して、わかりますか?人間の記憶は、いい加減ですよ。時間が経つと正確に覚えていないことがほとんど。

メモる?冗談じゃない。

どこの国のどの町で、何という名前の教会や名所を撮影したのかを現地でいちいちメモなんか取ってられない。

GPS機器が内蔵されているか外付けでカメラに取り付ければ、シャッターボタンを押した瞬間にExifに緯度経度を記録。Googleマップで確認すると、どこで撮影したのかがすぐにわかる。撮影場所の名前は、Googleマップに書いてあるから調べる必要ナシ。これ、ホントすばらしいですよ。

▼「Adobe Lightroom」はネットにつながっていると、Google マップが表示され撮影場所にピンが立つ。GPSデータがあれば、Google マップ単体でも見ることができる。Google マップ上の撮影場所

たしかにGPS機器は、必ずしも正確ではない。数十メートル、場合によっては数百メートルの誤差が出ることも。実際の撮影場所とGoogleマップに立つピンの位置がズレてることがまれにあります。(上のマップでは、左上。川の上で撮影したことになっている。)

しかし、それは今のGPS衛星や機器の精度上、許容範囲。将来はもっと正確になるでしょう。

GPSのもう一つ便利な機能として、衛星の電波を受信すると自動で時刻の修正もやってくれる。これは日本と時差がある海外では非常に便利ですよ。自分で時刻設定やらサマータイム設定をしなくていいんですから。

私がFacebookで写真を投稿する際、国や都市名の他に教会や修道院、通りの名前まで書けるのは、ExifにGPSデータが埋め込まれていて、Googleマップで確認できるからです。

写真にGPSデータがないと、どこで撮影したのか、教会名や建物の名前がわからず、記憶を頼りにGoogle マップで場所を探し出す。これ、時間の無駄だしストレスを感じます。

スマホは、バッテリーが持たない

スマホで場所を記録できるという人もいます。先に述べた某有名写真家も同じこと言ってました。だから、GPSはいらない、と。

私もスマホのアプリを使ってGPSログを取ったり、場所の記録もしました。でも、バッテリー消費が激しく半日持たないので、結局使うのやめてしまった。

現在は、デジタルカメラにカメラメーカー専用のGPSロガーを取り付け、それとは別に乾電池で動く小型のGPSロガーも持って歩いています。機器が壊れて動かなかったりした場合に備えてのバックアップみたいなもの。

でもね、シャッターボタン押した瞬間にGPSが記録されるほうが圧倒的に便利。GPS機器を別に持って歩いて、後からパソコンを使って手動でGPSデータをExifに書き込むのは手間。

「GPSが付いていても、写真の腕は上がらない」は暴論だ

この手の意見も写真家の間に未だに根強く残っていますね。

GPS機能が付いている付いていないことと、写真の腕が上がる上がらないはまったく別問題。

2つの違う事柄を関連性があるように述べている暴論です。

写真の腕を上げるためにGPSは必要ありません。あってもなくても変わらない。

GPSは撮影場所を記録し、後で写真を見返すときに必要なもの。編集時にあれば便利な機能。写真の腕を上げるという撮影時に求められるセンスやテクニックといったものとはまったく関係がありません。GPSがいらないのであれば、GPS機能をオフにするか、後で情報を削除すればいい。

デジカメよりスマホの方が先進的

最近になってようやくカメラメーカーも重い腰を上げてデジカメにGPSを内蔵する機種をチラホラ発売するようになりましたね。なぜメーカーはGPS搭載に保守的なんでしょうかね?不思議ですよ。

BluetoothやWi-Fiを載せるよりも、先にGPS対応じゃないのか?と個人的には思っています。

iPhone 3Gが日本で発売されたときは、衝撃的でした。写真を撮った瞬間にGPS情報が写真に書き込まれる。しかも撮影時に意識することなく自動的に。今では当たり前にどのスマホでもできることだけど、当時としては先進的。

それに比べてカメラメーカーは、デジカメにGPSを付けるのにかなりの時間を要した。

技術的な問題?

デジカメより小さいスマホで搭載可能なのだから、デジカメにGPS付けること可能でしょ。

GPSデータの活用方法がわからなかった?

おそらくこれが理由なんじゃないか。

もし、iPhoneが世に登場していなくて、そしてスマホがこれだけ普及していなかったら、もしかしたらカメラメーカーは今でもデジカメにGPSを搭載しなかったかもしれない。

場所を知られたくなかったら、削除すればいい

便利なGPSだけど、プライバシーに関してはいろいろ問題はある。

特にSNSに関しては、撮影場所が第三者にバレてしまう。

でもそれは、GPS機能が悪いのではなく、場所情報が付加された写真を公開した本人がいけないんです。他人に知られるのがいやなら、知られないように対策すればいいだけ。

Exifに記録されたGPS情報を削除すれば済む話。ちょっとした対策でプライバシーを守ることができる。難しいことではない。

GPSを使おうよ

せっかく便利な機能があるのだから、積極的に使いましょう。

「あれ?これ、どこで撮った写真かな?んー思い出せない。」なんてことがないように。

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