成田空港国際線ターミナルの保安検査場での出来事。
航空会社のカウンターで搭乗手続きを済ませて機内持ち込み手荷物以外の荷物を預けた後に、虫除けスプレーとシェービングジェルを用意するのを忘れたことに気づき、空港内の薬局で購入。そして、保安検査場へ来ました。
保安検査場には手荷物検査を受ける旅行者で長蛇の列。並びながら少しずつ前に詰めて自分の順番を待っていたときに、思わず「あっ!!」と声を出してしまいそうになりました。
「液体、持ってる」
その瞬間、なぜか保安検査員と目が合う。
自分の後ろには検査待ちの人が大勢並んでいたし、離陸までの時間もあまりなく焦っていて、検査のための液体を入れる透明な袋もない。どうすればいいんだ?
こういった体験は私だけではないはず。今まで一度も体験していなくても、もしかしたらそんな場面にあなたがこれから出会うかもしれません。
そのとき私がとった行動と保安検査場の対応をメモします。
目次
液体物の機内持ち込み制限は、国内線と国際線で規定が違う
保安検査場での出来事をお伝えする前に、液体物の機内持ち込み制限について解説します。
液体物の機内持ち込み制限は、国内線と国際線とでは規定が違うこと知っていましたか?
国内線
国内線の液体物持ち込み制限は、国際線のように厳しくありません。爆発のおそれがあるもの、燃えやすいもの、有害物質などの危険物でなければ、液体物は機内に持ち込み可能です。ただし、容量や重量が決まっているので注意が必要です。
機内に持ち込み可能で、容量や重量が制限を超えている場合、保安検査場で放棄する必要があるもの
- 一容器あたり500gまたは500ml以下で、合計2kgまたは2リットル以下の化粧品類やスプレー
- アルコール度数が70%以下の酒類
機内に持ち込み禁止
- 「塩素系」や「混ぜるな危険」と表示された洗剤
- 殺虫剤、ガスボンベ、医療用でない酸素スプレー、冷却スプレー
紛らわしいのはスプレー類。
ヘアスプレー、日焼け止めスプレー、制汗剤スプレー、虫除けスプレー、ミスト化粧水は、持ち込み可能です。
国内線では国際線のように、保安検査の際に液体物を透明プラスチック製袋に入れる必要もありません。
国際線
国際線での液体物の機内持ち込み制限については、成田空港のホームページ、液体物持ち込みについて(国際線)にイラスト付きでわかりやすく解説してあります。
液体物を機内に持ち込める条件は、
- 液体物を100ml以下の容器に入れる
- 容量が1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック製袋に入れる
- 透明プラスチック製袋のサイズは、縦20㎝以下 × 横20㎝以下
▼検査対象になる液体物の例。爆弾対策として味噌も対象なんですね。「海産物」の例として、明太子も検査対象です。(成田空港のホームページから引用)
成田空港国際線出発ロビーの保安検査場前に液体物のサンプルが展示されています。
国際線での検査時の注意点は、
- あらゆる液体物が検査対象(水分を含んでいるものは液体物と考えたほうがよい)
- 100ml以下の容器でも、透明のプラスチック製袋に入っていない場合は持ち込みができない
- 透明プラスチック製袋の持ち込みは、1人につき1つだけ
検査対象が広く、持ち込み条件が厳しく感じるかもしれませんが、あまり神経質になる必要はないと思います。どうしても気になるようであれば、液体物をスーツケースに入れてチェックインカウンターで預け荷物にしましょう。
保安検査場で正直に申告しました
成田空港国際線ターミナルの保安検査場での私。「液体を持っているけど、袋に入れてません」と正直に検査員に言いました。開き直って、そうするしかなかったです。変におどおどして挙動不審になったら、怪しまれますからね。
どうなるのかな、と心配したのですが、保安検査場の対応は意外なものでした。
”検査用”の袋はある
「液体が入っている容器をこちらの透明な袋に入れてください」と検査員から言われて、袋を渡されました。
なーんだ、保安検査場に袋があるんでしょ。
検査員から渡された透明な袋に虫除けスプレーとシェービングジェルを入れて、事なきを得ました。
保安検査場に透明プラスチック製袋があるから、自分で用意しなくてもいいと思わないでください。保安検査場で用意してある袋には、おそらく数に限りがあると思われます。自分で用意しましょう。
無事に検査を終えてホッと安堵したときに保安検査員から言われた一言。
「液体が入った容器を透明なプラスチックの袋に入れなければならないのは保安検査のときだけです。検査が終われば必要ありません。機内に持ち込むときも検査が終われば袋はいりませんよ。」
そう言われて、手渡された”検査用”の透明な袋を回収されました。無料で配布するわけではないんですね。
箱入りの液体物は、箱から取り出さなければならないのか?
空港内の薬局で購入した虫除けスプレーは、箱に入っていました。購入したのは、「ムヒの虫よけ ムシペールα」。
箱に入っている液体物はどうすればいいのか?箱から取り出して、透明なプラスチック製袋に入れるの?
空港内の薬局で虫除けスプレーを購入したことを検査員に告げると、「未開封のものは袋に入れずに目視で確認しますが、開封したものは箱から取り出して、透明な袋に入れてください。」と言われました。
必要ないとは思いますが、念のために購入時のレシートを捨てずに保安検査場へ持って行った方がいいかもしれません。
100円ショップで見つけた「機内持ち込みパック」
空港での体験談から話は逸れて、100円ショップのSeria(セリア)で見つけたスグレものを紹介します。
▼商品名は、「機内持ち込みパック」。そのまんまのネーミング。
▼左上に書かれているBenly YOU(ベンリィユー)とは、Seria(セリア)のプライベートブランドなのでしょうか?サブタイトルに「教えたくない!スグレもの」と書いてあります。
▼裏面を見ると、和歌山県にある株式会社 小久保工業所という会社が製造しています。ホームページを見ると、100円ショップで売っているような家庭用品を製造・販売しているようです。
▼Ziploc(ジップロック)のようなジッパー(チャック)付き透明ビニール袋が3枚入っています。ちなみに、Ziploc(ジップロック)は、アメリカにある会社の登録商標です。
▼サイズは、縦16.5cm × 横20cm。
▼写真ではわかりづらいですが、底部にマチが付いていて広がります。パッケージにはマチ3cmと表示してありますが、実際には6cmぐらい広がります。マチ付きの袋は保安検査場で使用できないとの情報がネット上に多数見られるのですが、これについては後述します。
▼「ムヒの虫よけ ムシペールα」と「ぷちキンカン」を入れてみました。パッケージ裏面には袋の厚さ0.06mmと書いてありますが、実際に触ってみると、薄くてすぐに破けてしまいそうな安っぽいペラペラ感はなく厚みがあり、作りはしっかりしています。
100円ショップで売っているものだから、どうせ品質は悪いだろうと思って購入したのですが、意外に丈夫そうなので長持ちしそうです。ただ、ジッパー(チャック)の耐久性はどうなのか?この点が気になります。
なくしたり破れて使い物にならなくなって、後で同じものを買い増しするのにわざわざ店に行くのは面倒だと思ったので、棚にあった「機内持ち込みパック」を大人買いし、家にストックしておきます。
マチ付きの袋は、保安検査場で使用できないのか?
ネット上には、マチ付きの袋は保安検査場で使用できないとの情報が多数載っています。
▼液体物持ち込みについて(国際線)(成田空港のホームページから引用)にも「マチ付きの物は容量が1リットルを超えてしまいますので、使用はできません。」と記載されています(赤枠)。
上記で紹介したSeria(セリア)の「機内持ち込みパック」は、マチ付きだから保安検査場では使用できないのか?もし本当に使用できないのなら、販売しているのはおかしいということになる。
疑問に思ったので、空港の安全確保や航空分野のセキュリティ対策を行う所轄官庁の国土交通省航空局安全部空港安全・保安対策課航空保安対策室に電話で問い合わせたところ、
「マチ付きの袋の使用に関しては、明確な規定はありません」との回答。
さらに、「縦20㎝ × 横20㎝の袋の容量がおよそ1リットルになりますので、液体容器の個々の容量が100ml以下で、持ち込み袋の容量が1リットルを超えなければ、マチ付きの袋でも問題はありません。」と説明してくれました。
成田空港のホームページに書かれていることを読むと、マチ付きの袋は一切使用できないと勘違いをしてしまいそうですが、
- 縦20㎝以下 × 横20㎝以下の透明プラスチック製袋
- 液体容器の個々の容量が100ml以下
- 持ち込み袋の容量が1リットルを超えない
これらの条件を満たせば、マチ付きの袋でも使用はO.K.です。
さいごに
日本の空港の保安検査場は、海外に比べて対応が親切丁寧です。検査に必要なプラスチック製袋を忘れた”お客様”に予め用意してあるのですから。海外なら、自分で用意しろよ、と軽くあしらわれてしまうでしょう。
出発直前の時間がないときは、心にも余裕がなく焦ってしまいます。そうならないためにも、液体物を入れる透明なプラスチック製袋を自分で用意して空港へ行きましょう。